父との旅行
2020年03月17日
先日、父と旅行にいった
ここ何年かは毎年のようにふたりで
どこかに出かけている
病気の影響で行けなかったときもあるし
まだ退院したてで
道中大変だったときもあったが
今年も少し暖かくなるのを待って
いっしょに出かけることができた
以前は飛行機であちこち飛び回っていた父も
いまは車で出かけるのが楽なようで
僕が運転をして
父を旅行先までつれていく
今回の旅行では
いままで以上に強く思ったことがある
車での移動中は基本的に父の独壇場だ
聞いたことのある話も出てくるが
とにかく楽しそうに話をしてくれる
その話のなかで
「お母ちゃん、
干物買ってきてほしいって言ってたけど
どこで買えばいいかなー」と
独り言や愚痴のようによく口にだしていた
父も母も
よく僕の前でそれぞれの愚痴をいう
まさに昭和の人だ笑
そうこうしている間に車は目的地に着き
お腹もすいてくる時間となった
「先にお昼にするか!そこに入ろう」
僕としてはせっかく旅行に来ているのだから
その地方のものを食べたいところなのだが
父は食べなれたものがいいといつも言う
結局旅先で「大阪王将」に入り(おいしかった)、
そのあと干物をみに向かった
選ぶのはあっという間だった
袋をもって店から出てきた父
少し嬉しそうだった
そのあとも母にスカーフを選んで買っていたり
小さい子どもへのお土産かというようなかわいい小物を買ったり
何時には帰ると連絡もしていた
僕の知っている父はこんな人ではなかった
いや、こんな人だったのかもしれないが
いままでよりも顕著になってきた
僕は思った
父はこんなにも母を愛しているのだなと
しかもそれは純真無垢な愛というよりも
相手を思いやる
相手をいたわる
相手にそっと寄り添う
そんな愛だと思った
それと同時に年老いた両親を感じた
人間の命は永遠ではない
誰もがそれをわかってはいる
ふたりは共に生きてきた長い年月のなか
口には出さないまでも
少しずつそれを感じていている
自分の人生
この人との人生
永遠ではないから
愛しくなるんだと
その残りの時間を慈しみあい
共に分けあっているんだと
僕が知っている父は
こんな人ではなかった
だけど
年老いた姿とともに
僕にたくさんのことをみせてくれる
偉大な
そして大好きな父である
息子である僕は
今年の桜を刹那なはかなさをもって眺めた
父はどのように感じたのだろう